前編 ソウル〜大邱〜海印寺
今回もまた急遽、訪韓を決めた。
それまで行く気がなかったのに、ふと思いついて、3日前に航空券を購入した。
まあ例のごとくソウル金浦(キンポ)についてから先のプランはなし。
のんびり寺めぐりでもするかな。別に仏教徒でもないけど、韓国の寺ってすごく落ち着けるんだな。
大体が山の中の静かな所にあるし、朝のしんと静まった空気感。
これを味わいに行こう。
今決まった。一つの目的。さあ出発だ。
2時間足らずでソウル金浦国際空港へ着く。窓際の席から見えたソウルの街は銀世界。
小雪が降っていて、積もっている。−3℃ということである。機体を通じて寒さが伝わってくる。
まずは両替。
韓国に来始めの頃は¥100がW1000というレートでわかりやすかったが、
今回は¥100がW830。
ウォンが高くなりつつある。
空港から表に出ることなく、地下鉄に乗り、ソウル駅へ。
ここで初めて外に出る。寒い。雪からみぞれに変わっている。
ここからKTXに乗る。チケットはスムーズに購入できた。
1時間後の列車。
駅ビルの食堂で最初の食事はもちラーメン。インスタントラーメンにもちが入ったもの。
器は鍋のままだ。熱い、辛い、汗だく。外は雪なのに。
KTXに乗り込む。座席は後ろ向きだ。結構、席は埋まっている。
後ろ向きに進むが、揺れはないので、気持ち悪くなることはない。
本を読んだり、うとうとしてる間に東大邱(トンテグ)に着く。ここでは雨になっている。
大分、南に来たからね。大邱(テグ)は3度目になるかな。地下鉄乗り場の場所も覚えている。
あの放火事件のあった地下鉄だ。12駅分乗り、聖堂モッ(ソンダンモッ)駅で下車し、西部ターミナル。
ここも来たことがある。ここからバスで1時間半。
家を出てから、
地下鉄→私鉄→飛行機→地下鉄→KTX→地下鉄→バス
とこれだけ乗り継いで、辺りは真っ暗。
19時。約5年ぶり。山深い、海印寺(ヘインサ)である。
世界遺産。また来たいとずっと思っていたところ。
ちょっとした門前町という感じで、前回はホテルに泊まり、
ホテルの食堂で食事をした。
店はあるが、夜だから閉まっているのではと思っていたが、開いている店はちらほらある。
食堂も客はいないが、やっている。
おばさんに呼び込みされ、食堂に入る。
メニューがなかったので、きょろきょろしてる間に食事が運ばれてくる。
わーお、一人でこんなに食べられるかって。適当につっつき、W10000であった。味はなかなか。
前回泊まったホテルはW60000と高かったので、安そうな旅館にしよう。
食堂の近くにあった小綺麗な旅館に入る。W25000であった。
オンドル部屋は温かい。さあ明日は海印寺だ。
と今回はかつてないほど荷物が少ない。というのも着替えは下着1日分のみ。
洗濯してオンドルの床で乾かす。冬だし、下着だけ着替えればいいよね。
窓の外は雪。
かなり降っている。
昨日買っておいた菓子パンを朝食にし、出かける準備をする。
オンドルは熱いくらいでなかなか寝苦しかった。
さてと行くか。雪で路面が滑る。こけないようにと。
周囲の山の木々が雪化粧をして美しい。
ゆっくりと海印寺へ足を進めていく。
晴れて放射冷却されるより、雪が降っていた方が暖かい。
それほどの寒さは感じない。なだらかな坂を登っていくと、海印寺の入り口があった。着いた。
5年ぶり。9時頃でまだ早く、人影はまばらである。
階段をいくつか歩いて行くと、大雄殿。ここからは朝のお勤め、お経が聞こえてくる。
屋根に雪が降り積もる。時折聞こえる風鐸のカランカランという音。
しんしんと降る雪。吐く息は白い。あーいいね、やっぱりここは。
冬がいいよ。
いいよ、いいよと、ひとりごちた。
ここはユネスコの世界遺産に登録されている八万大蔵経がある。
八万というからには、八万あるのだろう。
お経の板が棚に並べられている。ここからもお経を唱える声がする。
一心不乱に雪かきをする職員。下を見下ろす。周囲を山に囲まれた海印寺。
はるばる来た甲斐がある。また来たい。
この雰囲気を味わいに。
バスターミナル付近の食堂でビビンバを食べ、大邱へ。
そこから全州(チョンジュ)、鎮安(チナン)に行く。
もう夜だ。さびれた町、鎮安。