後編 塔寺〜全州〜曹渓寺
今日行くところも今まで行きたいと思ってはいたが、行っていないところ。
馬耳山(マイサン)の塔寺(タプサ)である。
馬の耳の形をした山、そこにある石を積み上げた塔がいくつもあるという塔寺がある。
バスターミナルから郡内バスで10分というが、果たしてバスは・・・と、
馬耳山行きが停まっている。
運転手に「塔寺に行きたいのだが」と言うと、ここで待っていろと言う。
馬耳山行きなのにこれではないのかと、バスはさっさと行ってしまった。
しばらく待つと、さっきの運転手のバスだ。
塔寺行きになっている。
うーん、この辺はどうなっているのか不明だ。
今度は乗れと言う。まあいいか。
乗って10分程で終点、塔寺。
時刻表を見ると、一日5本しかない。
すぐ乗れたのは運がよかったらしい。
みやげ物屋、食堂街を抜けると特徴的な形をしている馬耳山が近くに見えてくる。
と角を曲がると、塔寺に到着。
あー、すごい。石がきれいに積まれている。
よく倒れてこないものだ。
山肌と言うか、崖から氷が溶けてバラバラ落ちてきている。
崖の近くには近寄れない。お坊さんがお経を唱えている。
正に馬の耳に念仏なのだが・・・
韓国にはこのことわざはないのだろう。
日本人の私にとっては、なんとか馬に聞いてもらおうと必死に唱えている光景に見えてしまうのだが。
さらに上へ上がれそうである。
ところどころ氷の張った道を登っていく。
木の階段は雪が固まったようになっていて、滑りやすい。
しかし、よくみんな平気で歩いているなあ。
老若男女、本当にたくさんの人々が歩いている。こんなに足場が悪いのに。
子供なんて走っているよ。
杖をつきつつおばあちゃん。
手をつないでデート風なカップル。
階段を登りきると、さらに上に洞窟があるとの看板。
急な石階段。雪も積もっている。
一人だったらやめるところだが、みんな上がっていく。
えっ、みんな行くねー。じゃ行ってみるか。
と上がると、なんてことはない、洞窟というか、岩の裂け目、入るほどの大きさもない。
その手前のスペースで、10人くらいのおじさんおばさん集団がゴザをひいて、焼酎を飲んで騒いでいる。
日本の花見のようなものだ。よく山で見かけるけれど、冬で雪もあるのに、それもこんな崖の上でよくやるよ。
ゆっくりと降りていき、食堂街でキムチチゲを食べてから、バスに乗り、鎮安、そして全州へと戻る。
このままソウルまで行ってもいいけど、ソウルに行ったところで何をすることもなし。
だったらまだ一度しかまともに見たことがない全州で寄り道しようか。
今日はここで泊まって明日ソウル入りしよう。
帰国便は夜だし。
ということで全州バスターミナルからタクシーに乗り、全州の中心部へと行く。
3泊4日あると結構行きたいところに行けるね。ソウル・釜山(プサン)以外で中2日で遠出が出来る。
3連休に1日休みをとれば、こうやって来られるんだ。
しかしどこかのついでに行けるような目的地はなくなってきたなあ。
今回行った海印寺、塔寺はあえてここに行こうとしなければ、行くことは出来ない場所なんだよな。
8時くらいになって、空が明るくなり始める。
今日も晴れだ。
宿を出て、左右を見たら郵便局を見つけた。
エアメール用の切手がほしかったので、すぐに見つかってよかった。
エアメールを出し、バスターミナルへ向う。
ソウルまでの優等バスW16000。10分間隔くらいで出ている。
席は大体埋まっている。
ソウルまで3時間弱。途中サービスエリアでの一時休憩あり。
車中ほとんど寝ていた。心地よい眠りであった。
フライトまでの数時間、ソウルでどうするかは特に決めていなかった。
リュックはそれなりに重いので、とりあえずロッカーに預け、ソウルに何度も来ていながら、
行ったことがない場所の一つ、曹渓寺(チョゲサ)に行ってみることにした。
鐘閣(チョンガ)駅から歩いて数分。
ビルの合間にお寺が現れる。カラフルな提灯が目立つ。
大雄殿から聞こえてくるお経の声は、外にまではっきりと聞き取れるほど。
白人金髪のいかにも外国人の姿もちらほらと。
欧米の人にとってはこういう寺は珍しく思うのだろうな。
続いて、徳寿宮(トクスグン)まで歩いてみたが、月曜日で閉まっていた。残念。
市庁前には特設のスケートリンクがあった。
夜見たらイルミネーションがきれいな感じである。
しばらく眺めていたが、寒くなってきた。
ロッテ百貨店の食料品売り場を見回し、そろそろ空港に行く時間。
あー、帰国するのか。
最終日特有のさみしい気持ちになる。
金浦空港までは地下鉄で近い。
機内食は出そうなので、ロッテリアで軽めの食事をとり、出国ゲートへ。
次回はいよいよ訪韓20回記念だ。