4日目 4月28日(月) 晴れ 〜束草 北朝鮮拝見 雪岳山〜


北朝鮮を見る

ソクチョバスターミナル前の市内バス乗り場から1番のバスに乗り、揺られること1時間ほどで止まった。バスの運転手にどこまで 行くのかと聞かれ、大津(テジン)と答えるとこのバスは行かないと。1番のバスに乗れと言われたのに、途中で止まるバスがあったとは。 親切にバスの運転手は次のバスを教えてくれ、そのバスに乗り込み、終点テジンまで行った。テジンから徒歩20分。海岸には鉄条網が張られている。
統一展望台行きの受付があり、W4000で入場料とバス代が含まれる。名前とパスポート番号を書かされる。 ここからさらに専用のリムジンバスに乗り、統一展望台に着く。
非武装中立地帯(DMZ)の見学場所として板門店(パンムンジョム)が有名だが、ここ高城(コソン)統一展望台は韓国でもっとも北にある。北緯38度35分。
僕は単なる好奇心で来たけれど、韓国人がここを訪れる意味は全く違うだろう。
統一展望台前には列車を使った食堂、みやげ屋がある。銃を持った兵士がちらほらと。階段を登り、展望台へ。


初めて見る北朝鮮。あそこに見える岩山は北朝鮮にある。 撮影禁止の看板はあるが、記念写真の見本が置いてあったりと、みんな気にせず撮っている。兵士も何も言わない。
すれ違ったハラボジ(おじいさんのこと)に「どこから来たのか?」と聞かれ「イルボン(日本)」と答えると、そうかという表情をされただけだった。 その表情の裏に何かあるのだろう。
ここには何気なく来たが、日本人がここに来る意味は決して軽いものではない。 といっても何もできるわけでなく、このような現実が韓国にはあるということを心に留めておくことが必要だろう。

   

鉄条網越しの北朝鮮。
せっかくなので自分の写真を撮ってもらおうと、近くにいた女の子3人組に頼み、撮ってもらった。 そしたら日本人がめずらしかったのか、女の子3人組も自分たちのカメラで一緒に撮りましょうと、一緒に写った。
この何ともないことが、今後のあらぬ展開へとつながろうとは、このときは思いもしなかった。

階段を降り、食堂でうどんを食べ、暑いので食後に店外でソフトクリームを食べていると、声をかける人が。 さっき写真を撮ってもらった女の子だ。
「私たちも旅行をしています。よかったら一緒に行きませんか?」
彼女らは自分の車で来ていた。そう来られるとは思ってもいなかったので、
「どこに行きますか?」
「いろいろと」
どうしようかと迷っていると、あまり気乗りがしていないと見えたか、「だめですか」と行ってしまった。
この後、雪岳山(ソラクサン)に行くという予定があったが、予定はあってないようなもの。 こんな機会は2度とないのにと、あとになって後悔したのは言うまでもない。

   

雪岳山へ、そしてまさかの再会

気を取り直し、リムジンバス、市内バスと乗り継ぎ、ソクチョ市内へ戻り、今度は雪岳山へ向けバスに乗った。
雪岳山は韓国で3番目の高さの山ではあるが、その美しさでは韓国一の山である。
30分ほどで着。雪岳山の最高峰に登るつもりはなかった(あとで知ったがこの時期、山火事防止のため頂上までは通行禁止)。 周辺の散策をするつもりであった。

天気予報では明日は雨。天気のいい今日にいくつか見ておこうと思っていた。公園の入口で入場料を払い、 しばらくと行くと何と!!!さっき統一展望台で会った女の子3人組ではないか。 お互い同時に気づき、笑いあった。何だ雪岳山に行くなら行くと言ってくれればいいのに。 で、これから東海(トンヘ、日本海のこと)へ行くけど、一緒にどうかと誘われ、また会うなんて縁があると思い、 今度は一つ返事で行くと言った。
でも僕は今来たばかり。彼女らは車で来てるから、ずいぶん前に着いて、もう次に行こうとしているところ。 で、それを察してくれて2時間待つから、急いで見てきてと言われた。

よっしゃと最低限見たかった飛仙台(ピソンデ)まで行った。 標準Timeでは往復2時間以上かかる。自然、足は小走りになる。飛仙台は美しかったが、ゆっくり堪能できず、また来ればいいやと割り切り、 急いで戻った。
公園の入口で教えてもらった携帯に電話。こんなときにAUの携帯が役に立つとは。 しばし待つと迎えに来てくれて、彼女らの車に乗った。
彼女らはこの2時間で町の本屋で日本語会話集を買ってきていた。 うれしい限りだ。

   
急遽、ヒッチハイクの旅へ

車中で簡単に自己紹介。
彼女らは某有名企業に勤める友達同士で、休日に有休2日つけて、旅行をしているとのこと。 運転しているチヨンさんと助手席のウンハさんが25歳。僕の隣のチョンエさんが23歳。
と喜んでいるのもつかの間、車の運転のすごさにビビリまくり。 タクシーの運転が荒くて驚くことはあっても、プロだから多少安心はできる。 し、しかし彼女はプロではない。車もかわいそう。 これで大丈夫なんだから、韓国の車は余程頑丈にできている。と妙なところに感心。感心してる場合じゃないか。
あたりは暗くなり、食事はどうだということで、「フェ、フェはどうだ」とさかんに言うが(あとで刺身のことだと分かった)、なんのこっちゃ分からず、 無難にカルビ屋でサムギョプサル。豚の焼き肉である。 女の子でもどんどん頼んで、豪快に食べる。だけどたくさん残す。韓国では残すのが礼儀というが、こんなに残していいのか。 乗せてもらっているから会計は払いたかったが、すばやく会計は済まされてしまった。割り勘はなく、年長者がすべて払うことが多い。 彼女らと一緒にいた期間中、25歳の二人がだいたい交互に払い、暗黙の了解のよう。
再度、車に乗りこみ、江陵(カンヌン)へ向かった。車中は大音量で最新ヒット曲が流れる。知っている歌手の歌が流れると、「えっ、知っているの!」 と驚かれた。ドラマ、映画と韓国通ぶりをここぞとばかりに、ひけらかせた。

こう書いてくると、コミュニケーションはうまくいっているようだが、ほとんど分かっていない(笑)。 大体の話の流れ、ニュアンス、身振り手振りでなんとなくこんなことを言っているのだなと理解する。 自分が分かる範囲内で最大限のコミュニケーションをしていた。
カンヌンに入り、宿は彼女らが予約した、おそらく会社の提携しているコンドミニアム。 宿に着いてすぐに、夜の海に行った。春の平日なのに若者は結構いて、花火とかをして遊んでいた。
部屋に戻り、ビールとつまみはイカ、オレンジ、プチトマト、カッパえびせんで宴会となった。
会話集とにらめっこしながら、会話した。 住所を聞いて、手紙を書くよと約束。彼女らが日本に来ることがあれば、僕が案内すると。
この時間がすごく貴重な時間だと実感しながら、すごした。
こんなことってやろうとしてできるものでないし、言ってみれば僕がナンパされたようなもの。 そのうち花札(日本と同じ)を始め、 時間の経つのも忘れ、夜は過ぎていった。

   


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