5日目 5月4日(火) 〜南原〜


春香祭

宿を8:30。
宿の近くにある春香テーマパークを歩く。
ここは映画、春香伝(チュニャンジョン)の撮影セットを公園にしたものである。

さて春香伝であるが、韓国人なら誰でも知っている物語で、早い話が 愛し合う二人が、身分の差を越えて、いろいろ困難はあったが、最後は結ばれるというもの。
その女の主人公が春香(チュニャン)であり、その舞台が、ここ南原なのである。
毎年5月に祭が開催されている。今日からであるが、時間が早いのか、まだ祭の活気さはない。
これから人が増えてくるのだろうと、麗水(ヨス)行き列車の切符を駅に行って買っておく。


イ・モンリョンがブランコに乗っているチュニャンに人目ぼれ
チュニャンは投獄されてしまう(リアルな人形だ)

        

祭の会場になっている広寒楼(クヮンハル)に行く。
パンソリだ。パンソリ大会をしていた。
喉をしぼって、声を張り上げて歌う韓国独特のもの。
映画「春香伝」もナレーションがパンソリになっていた。
小、中、高校生の部としばらく椅子に座って、見ていた。
このお陰で、あっという間に日焼けしてしまいました。
5月の紫外線をなめたらいかんですね。


        

祭のパンフレットをもらったけど、日本語版ではないので、 何をどこでやっているのか、イマイチわからない。
民俗国楽院で15時から、「春香伝」の演劇が行なわれることが、かろうじて分かったので、行ってみることにした。
チケットが残ってなかったら、しょうがないけど。

国楽院に着いて、受付でチケットはあるのか、どうたらこうたら係員とやり合っていると、
「日本人ですね」と歩み寄ってくる日本人のおじさん二人。
無料で見られ、席も空いていることを教えてもらった。
で、そのおじさん二人と席を並んで、演劇を見た。

生パンソリは迫力があるね。これを無料で見られるとは、得した気分。
歌あり、踊りあり、舞台、衣装も本格的で、韓国語が分からなくても、 充分伝わってくるし、楽しめた。
というかパンソリの歌詞は古典語であり、韓国人自身も理解しづらいので、 舞台横に画面があり、そこに字幕が表示される。
そんなもん、韓国語をかじった程度の私が理解しようたって無理なもの。

閉演後、何かの縁で会ったのだからと、おじさん二人と一杯やることに。
中華料理屋で餃子をつまみに、ビールで乾杯。
普段はつきあい以外で飲まない私だが、暑さで汗をかき、喉が渇いているとき、昼間に飲むビールは、 うまいかもと思えた瞬間であった。

片方のおじさんは、パンソリにはまって、それを見たさにここに住んでいるという。
このおじさんが、餃子の注文をしたのだが、韓国語、大してうまくなかったな。
ただ自信を持って、大きな声だったから、店員に一発で通じていた。
自分は通じるかどうか自信がないから、ついつい小声になりがち。
通じろと自信を持って、言えば通じるんじゃないかと思った。

そして、もう一方のおじさんは、今は定年してて、前には韓国を1ヶ月間も旅したこともあり、今回は12日間の旅行中という。
何とこの方は、韓国語が全く分からないそうである。文字も読めなければ、しゃべれない。
それでよく1ヶ月も旅ができるもんだなあ。
まあ定年前は、コロンビア、ペルー、マレーシアなどと、ずっと海外勤務してたというので、 度胸があるのだろう。通じなくても何とかなっちゃうさと。

この二人は、明日も同じ演劇をまた見るそうである。はああ。
私がこれから麗水に行くので、切符もあると言うと、 「切符を払い戻しして、明日も見るべきです」と言われる始末。
列車の時間が来るまで、いろんな話を聞かせてもらった。

きっとまた来年ここに来れば、このおじさんらに会えるだろう。
またどこかでと、駅に向かった。


ほろ酔い気分で

南原駅19:30。
KORAILは大陸的な香りがする。
麗水(ヨス)へ向かう列車へ。

久しぶりに昼間からアルコールが入ったせいか、列車に乗り込んでから、
ほろ酔い気分で、次々に言葉がこぼれ出してきた。


知らない場所に行くのが楽しい
何があるか、どんな人に出会うか
ひとかけらの好奇心を持って、今日も行こう

こうでなければ、こうすべきだなんて型にはめる必要はない
自分のしたいようにする
せっかく人間として生まれてきたのだ
好きなことをしないで、何をする
それが人から、どう見られようが、いいじゃない
ちっぽけな自尊心のために、自らを苦しめている
そんな自尊心なんて捨ててしまえ
自分のしたいこと、それがすべきこと

今やりたいことを、今やらなければ、それは永遠に出来なくなってしまう
明日やればいいのか
でもそれは、明日やりたいことである

今は今しかない
今がよくなければ、その積み重ねである未来もきっとよくない

        

いつか大物になってやると言っているちっぽけな自分がいる
大物、ちっぽけ?何を基準にして??

自分と戦っている自分がいる
相手が自分だから勝ち負けがない
だからこの戦いはずっと続く
戦争反対を叫んでも、やめられない
やめたらどうなる?

ほら街の明かりが、見えてきたよ
月明かりが、まぶしい

        

別に韓国がそれほど好きなわけじゃないかも。
韓国じゃなければいけない、ということではない。
どこでもいいはず。
自分の知らないところに行ければ。

韓国は条件が良かった。
言葉も分かるし、食べ物も合うし、見た目が似てるのでまぎれ込めるし、 手軽に好奇心を満たせるから。

例えばアフリカの奥地とかに行けば、カルチャーショックバリバリで、好奇心満たされまくりだろうけど、 逆に危険もあり、ハードルは高い。
ハイリスクハイリターン。
私はローリスクローリターンでいい。
ローリターンを繰り返していく、預貯金派というところか。

韓国になんでそんなにはまっているのと、よく聞かれるけど、 「知らないことがまだまだあるから」が答えかな。
全部分かりきれる訳ではないけれど、飽きたら別の国にするんじゃないかな。
まだ当分飽きる予定はない。

21時、麗水に着く。
酔いがすっかりさめた。


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