4日目 3月16日(木) 〜フィレンツェ〜


フィレンツェ

いつだって光が降り注いでいるフィレンツェにやって来た。
いつだって・・・。今日は特別、雨が降っていた。
雨に濡れた石畳も風情があって良い。空気中のちりも洗われ澄んでいる。

今日は午前中はドゥオモ、ウフィツィ美術館見学と予定が組まれているが、 午後は完全フリーである。
ドゥオモは午後じっくり見るので、午前中は写真もほとんど撮らずにさらっと流し、
ウフィツィ美術館ではボッティチェリの「ヴィーナス誕生」「春」を見、
絵画ファンなら涙を流して感動するほどであろうが、そうでない私にとってはもったいない。
ウフィツィ美術館でツアーの団体とは解散。ここからオプショナルツアーに行く人と個々に過ごす人とに分かれた。

     

フィレンツェはいつだって光が降り注いでいる。
午前中に降っていた雨はやみ、日が射し込んできた。
カフェで軽く食事を済ませ、タバッキでテレフォンカードを買う。5ユーロ。
通りにある公衆電話で日本へ国際電話。5ユーロで何分話せるだろうか。
日本との時差は8時間。日本は夜の9時頃。
受話器から聞きなれた声が。親父だ。生存報告をして切る。

さあ、ついにドゥオモのキューポラに登るときがやってきた。
この日を何年待ったことか。入口の列に並ぶ。丁度自分の前でドアが閉められる。
「5分待て」と係員に告げられる。あと5分。今までに待った数年に比べれば一瞬のようなもの。
ドアが開く。一気に駆けあがる。

464段もの階段。着いたそこからはフィレンツェの街が一望。
オレンジの光が溢れている。果たしてあおいはやってくるのか。
あおいは、あの約束を覚えているのだろうか。
そもそも約束なんて、したのだろうか。
それより、あおいって誰。
いかん、すっかり小説の世界に浸り切ってしまったようだ。

「写真撮って下さい」と日本人の若夫婦に言われ、お返しに私も撮ってもらった。
我が敬愛する作家、辻仁成氏の「冷静と情熱のあいだ Blu」を手に持って。
「私も読みました。Rossoも。私も好きです」
ありがたいコメントを頂き、あおいは来なくとも 充実したときを過ごせた。


       

キューポラを降り、あとはフィレンツェの街をブラブラと歩く。
メディチ家礼拝堂を見たり、市場に行ったり、何気ない路地の写真を撮ったり・・・
小腹が空いたらピザ屋でピザを。
ネットポイントでHPをチェック。

     

日が傾き始めた。いい感じの空の色。アルノ川沿いを歩いてみよう。
そしてミケランジェロ広場へ上がる。
ここからはドゥオモを中心としたフィレンツェの街が一望できる。ドゥオモの大きさに圧倒させられる。
ヴェッキオ橋とアルノ川沿いの街灯が浮かび出す。
日は沈み、空のオレンジ色が消えたと思ったら、 雲がオレンジ色に光り出した。
街灯のオレンジ色がドゥオモのキューポラをはじめとするフィレンツェの建物の屋根のオレンジに 反射して雲をオレンジに染めているのだろう。
いつまでもいつまでも見ていた。
という訳には行かないので、しばらくのちにサンタマリア・ノヴェッラ駅に戻り、 初めて乗るイタリアの列車でホテルへ帰った。

     

しかし少し戸惑ってしまった。
乗った列車、駅名のアナウンスがない。
仕方ないので、停車する駅ごとに駅名の看板を見ていった。
だけど、どこに書いてあるのか見つからない駅もあったりする。
モンティカティーニ・チェントロ駅、バスでフィレンツェ市内まで1時間ほどだから、 列車でもそのくらいかかるだろう。夜でもあり、外を見ても見当がつかない。
この駅辺りかな、と思ったら同じツアーの参加者がホームを歩いているのを発見。
ここだ。あっ、ドアが開かない。なんで。
隣のドア、隣の車両、みんな開かない。 彼らが降りたほうへ、一番前だ。
開いていた。はー、間に合った。 停車時間が長くて良かった。無事降りることが出来た。
イタリアの列車はうっかり居眠りも出来ない。

 

あとサンタマリア・ノヴェッラ駅に向かう途中、初めてスリに合ったことを付け加えておこう。
幸いカバンのファスナーを開けられた時点で気づいたので被害はなし。さらにカバンには貴重品を入れてなかったから、よかった。
噂通り、イタリアにはスリがいることを身をもって体験した。
そしてついにホテルに長い間行方不明であった荷物が届いていた。
お帰り。



3日目へ homeのページへ 5日目へ