2日目 通度寺、良洞民俗村
朝m-netを見て「江南スタイル」が流れ、気合いを入れていく。
それにしても今韓国で江南スタイルが大流行ということを日本に居ながらにして知ることができる。
私が韓国にはまり出した1990年代後半は、韓国に来てテレビで見るか、CDショップに行ってか、
もしくはSBS人気歌謡をオンタイムでネット放送で見るくらいしか流行を知る方法がなかった。
それが今や日本のテレビで韓国の音楽番組が見られるし、ネットで情報は豊富にある。
大きいのはYouTubeだ。韓国の流行は日本でも簡単に知ることができる。
変わったものだ。いいのか悪いのか。
韓国旅行してCDショップに行くのが、一番の楽しみでもあったのに、アマゾンでほぼ同じ値段で買えちゃうしね。
何だかなあ。オム・ジョンファの1stアルバムを買うために韓国に来たこともあった。懐かしいね。
朝8時に宿を出る。さあ通度寺へ。
通度寺は韓国でも有数の寺であり、たいていのガイドブックにも載っている程であるが、
今まで来る機会がなかった。
釜山と慶州の間という場所のせいか、いつも候補に挙げてはいたが、ちょっと行きにくく、
今日まで来ることがなかった。
さてどんな寺だろう。参道は1km以上あり、木々が気持ちいい。
門がやっと見えてきて、境内に入る。
いやあ、いい感じだね。ここも後ろに山を従え、自然環境もいい。
四天王の出迎えを受け、進んでいく。いいねえ。古い感じが。
韓国の寺独特の色づかい、丹青(タンチョン)フェチとしてはたまらない。
丹青がきれいで鮮やかな寺は他にもいくつもあるが、ここは色あせた感じがいい。
歴史があるということ。塗り直しなんてしないでいい。
このままで。
さらに奥がある。
おお。天気がいいのもあるけど、この空気感、建物と山のマッチが素晴らしい。
大雄殿、この後ろに御本尊の石の仏舎利塔がある。みな祈っている。
ちょっと身震いした位、久々感動してしまった。
29回も韓国に来ていると、新鮮に思えることが減ってくる。
感動したり、すごくいいと思えることが1つでもあれば、もうけもの。
そんな旅を続けていきたい。
年齢とともに旅の形は変わっていい。
いつまでも7kgもあるリュックを背負っての旅というのもつらくなってくる。
でもまだしばらくはこの旅の形を続けていきたい。
体力の続く限り。その位は元気であり続けたい。
一人旅、誰かと行く旅、どちらもいい面、悪い面はあるし、どちらがいいということはない。
新発見や新鮮に思うこと、どちらにも形こそ違えどあると思う。
一人旅は自分探しだと大そうなことをいうつもりはないが、自分を見つめるにはいい時間ではあろう。
と、ゆっくりとした時を通度寺で過ごし、バスターミナルに戻る。
さあ今日は移動が多いぞ。次は良洞(ヤンドン)民俗村へ行くのだ。
彦陽(オニャン)まで市内バス、そこから市外バスに乗り継ぎ慶州(キョンジュ)へ。
ここでお昼を食べ、ちなみにキムチチャーハンはうまかった。
当たりだった。はずれることも多いから。
ここから市内バスで良洞村入口下車。20分程徒歩。
途中、鉄道の無人駅に寄り道。
こんな所、列車なんか1日に何本もないんでしょと好き勝手に写真を撮り、歩いていたら、列車の音。
ああ通った。あぶない所だった。その後、間隔を空けずに何度か通っていた。
結構あるんだね。そうこうしてるうちに良洞村に到着。
人なんかそんなにいないんでしょと高をくくっていたけど、なんのなんの、観光客多し。
世界遺産だし、今日は日曜日。一大観光地であった。
ここに住んでる人は迷惑だろうな。こんなに人が多くて、写真は撮りまくるし、落ち着かないだろうね。
世界遺産になるのも良し悪しだね。歴史ある村を味わおうと思ったが、ちょっと観光地化しすぎだな。うーむ。
雰囲気は河回村と楽安邑城民俗村の方がいいなあ。まあ茅葺屋根の家々は趣きがあるんだけど。
ここは起伏が多い土地なので、上から見下ろす所はいい感じだった。
一通り村を廻り、次に移動。ここからがさらに大変だった。
事前情報では浦項(ポハン)行きバスは600、700番バスがあるとのことだった。
が、乗り場がない。タクシーもいない。
慶州まで戻るのもなんだし。
700番バスは走っているけど、どこが停留所なんだ。
探して歩き続け、高速道並みに飛ばす車を横目にせまい歩道、
歩道と呼ぶ程の幅はない所を歩き、気付いたら安康(アンガン)の街に入っていた。
5km以上歩いたよ。
やっと市外バスターミナルを見つけ、浦項行きバスに無事に乗る。はあ。
浦項までは30分程。浦項は2度目。鬱陵島に渡ったときに来て以来。
そのときは浦項の街は素通りしただけだった。今回は浦項にフォーカスする。
浦項ってPOSCOという世界有数の製鉄メーカーがあるというイメージしかなかったが、少し前、
BSフジで笛木優子がナレーターを務めた「巡・韓国」で浦項特集をやったことがあり、
イメージが変わった。今回はそれで紹介されていた所に行く。
市外バスターミナルから市内バスで九龍浦(クリョンポ)へ。
ここまではバスの本数が多いからいいけど、さらにバスを乗り継ぎ、虎尾串(ホミゴッ)へ行きたい。
ただいま19時。辺りはもう真っ暗。バスの時刻表を見ると、あと2本ある。
虎尾串で食堂が開いていない可能性もあるので、ここでキンパプ天国的な店でラーメンの簡単な夕食をすませ、
虎尾串(大浦:デポ)行きバスに乗る。虎尾串灯台で教えてくれと運転手に伝えておく。
超殺人的運転のバスに揺られ、降ろされたそこは真っ暗。
怪しげな音が響いている。その正体は巨大な風力発電が回る音であった。ああ手がある。
相生の手というオブジェである。ブラジルから手を延ばしてます的な地面、海からも手だけが生えている。
夜見ると不気味だ。明日はここから登る韓国で最も早い、いや独島、鬱陵島に次ぎ、韓国本土では一番早い日の出を見る。
近くにホテルの看板が光っている。宿泊先は確保できた。さあ起きられるか。